一粒万倍日とは? 「吉日」に潜む陰の真実を占い師が解説
こんにちは、東洋思想及び神道研究家の羽賀ヒカルです。
「○月○日は一粒万倍日です、何か新しい物事を始めていこう!」
「今日○月○日は、一粒万倍日。新しい財布を使い始めるのに縁起の良い日です」
ツイッターやフェイスブックなど、SNSでこのような投稿をよく見かけますね。
一粒万倍とはどんな意味かご存じですか?
今回は、「一粒万倍日」について由来や暦の定め方、そして注意したい「吉日の考え方」について、占い師の視点からお伝えします。
一粒万倍日とは
「一粒万倍」とは、一粒の種が、万倍になって実るという意味です。
昔の日本人の大多数は農民でした。ですから、タネをまくにはこの日が縁起がいい、逆にこの日にタネをまくとあまり実りがないという不成就日を暦(カレンダー)に記していたのです。
一粒万倍日について理解を深めるため、暦やカレンダーについて詳しく見ていきましょう。
日本独自に発展した暦
もともと日本では「太陰暦」という、月の満ち欠けを基準にした暦を使っていました。
太陰暦では、新月の日を朔日、つまり毎月の「1日」に設定します。
月が満ちるのを数えるので、3日目は「三日」月、そして満月は「十五夜」お月さまとなります。
こんどはそこから月が欠けていくのを毎日カウントしていき、再び、新月に戻ったら翌月の1日というように、月日を勘定していくのです。
中国から渡ってきた「太陰太陽暦(宣明暦)」という暦もあります。これは月と太陽のサイクルが合わさったもの。
中国や台湾、朝鮮半島などでは今も太陰太陽暦の正月が重要視されています。これを旧正月といい、お祭りをする風習は現代でも続いています。
中国から伝わった太陰太陽暦は、日本においては862年に本格的に採用され、1685年まで使用されていました。
しかし、中国と日本は場所が違いますので、時間が経つにつれて暦にズレが生じてきます。
そこで江戸時代、渋川春海という天文学者が日本独自の暦を作り上げます。
渋川春海は日本の地で天文観測を続けることによって、従来の暦のズレを明らかにし、1685年、日本独自の暦を作り上げました。これを貞享暦といいます。
やがて明治になり、1872年に採用されたのが西洋の暦です。月のサイクルを無視したもので、「太陽暦」とよばれています。
本来、月のサイクルを意識するのは非常に大事なことです。運のことを「ツキ」と言うように、運の動きと月の動きは連動しているからです。
そして、そこには人間の意識も連動しているのです。
一粒万倍日の定め方
今日では、出版やインターネットなどで、みんなが同じ暦、カレンダーを使っています。
けれども宣明暦も貞享暦も採用された当時は、全国に共通する商業出版のような仕組みは存在しませんでした。
ただ、地方で刷っている紙の媒体はありました。伊勢で使われていた伊勢暦であったり、東北の福島で使われていた会津暦などです。
表記は地方それぞれの暦で若干異なり、どの日が一粒万倍日や不成就日なのかは統一されておらず、根拠がよくわかってないものも多くあります。
例えば、干支暦(十干、十二支で組み合わされる六十干支で表した暦)の場合、1月は丑の日と午の日、2月は酉の日、寅の日、3月は子の日、卯の日を一粒万倍日としています。
これらは五行(万物は、木、火、土、金、水からなるという古代中国の思想)のバランスエネルギーからた選ばれた日どりであると言われています。
暦以上に強力な、人の「思い」のエネルギー
ここで、「開運」の観点から一粒万倍日にアプローチしてみましょう。
確かに天地自然のエネルギーとか暦のエネルギーは多いに関係しています。
けれども、人生においては、この日は良い日、この日は悪い日、ということは決まっていません。
暦以上に重要なのは、人間の思いや意志の力です。
何が言いたいのかというと、
「今日は一粒万倍日、いいことが起こりそう!」
そんな前向きな心持ちで1日をスタートすると現実も良くなりやすいということです。
思い込みの力はとても強力ですから、信じることは悪いことではありません。
しかし囚われすぎると、思わぬ落とし穴に自ら落ちてしまうこともあります。
毎日を「特別な日」にしよう
私は師匠の北極老人から、「今日は開運の日」というような特別な日は作らない方がいいと教わりました。
「開運の日」や「特別な日」をつくるということは、同時に「ついてない日」「どうでもいい日」生み出してしまうということにもなるからです。
良い日が気になると悪い日も気になってしまうもの。
それよりも、日々常に、
「今日は特別な日なんだ!」
「運命の出会いがある日かもしれない!」
「何か物事を始めるには最高の日なんだ!」
と思いこんで、1日をスタートさせる方が開運していくのです。
例えば、「今日は運命の日じゃないからどうでもいい日!」と、服装むちゃくちゃ、髪の毛ボサボサで気を抜いて過ごしていたとします。
そういう日に限って、いい誘いがあったり、いい流れが来るかもしれません。
「どうでもいい日」だと思っていると、大切な未来からのメッセージやサインを見落としてしまう可能性があります。
なので、人生は毎日、特別な日だと思っている方が良いのですね。
人の思いや意志には、過去も未来も現在も最高にすることが出来る素晴らしいパワーがあります。
あなたの思いの持ち方ひとつで、今日を一粒万倍日にできるのです。
あなたの開運をお祈りしております。
羽賀ヒカルでした。